
GQに寄稿の今尾直樹氏の
新型アウトランダーPHEVの試乗レビューを紹介します。
前半部略

筆者にとって意外だったのは乗り心地がSUVっぽかったことだ。
SUVっぽい乗り心地、というのは、足まわりがソフトというか少々ダンピング不足というべきか、高速走行時、首都高速の目地段差とか小田原厚木道路のうねった路面、あるいは東名高速の上りの横浜あたりの少々荒れた路面等でピッチング、もしくはバウンシングが少々残る傾向がある。
それがさほど嫌な感じがしないのは、オフロード走行に備えてストロークをたっぷりとっているから。という雰囲気がなんとなく伝わってくるから、かもしれない。上屋は揺れているのにロード・ホールディングはよさげで、初期の「レンジ・ローバー」に代表されるクラシックなSUVをちょっと思わせて、これはこれで味わい深い。

試乗車の履いていた255/45R20という、SUVとしては扁平の極太大径のタイヤも、低速時にバンピーな路面で存在を主張する。
中略
フロアに電池を敷き詰めていると、電池保護のための補強もあったりしてフロアの剛性はめっちゃ高く感じる。と、筆者は思っていたけれど、アウトランダーPHEVは不思議とそうではない。最近のルノー車よりもフランス車っぽいというか、ドイツ志向ではないというか、あるいはボディの剛性感というよりは足まわりのソフトさからそう感じるのか、ある種のユルさが感じられて、これも独自の味になっている。
中略
エンジンはまったく出しゃばらない。今回、筆者はほとんど走行モードを「ノーマル」にしてドライブしてみたわけだけれど、その場合、電池にエネルギーがある限り、EV走行を積極的に行う。
今回は二子玉川から試乗を開始した。走り始めて聞こえてくるのはエアコンの風の音だけで、室内はいたって静かである。風量を抑え、耳を澄ませていると、♪んたた、んたた、んたた、という小さなうなり音が聞こえてくる。モーターを制御するインバーターの音らしい。

例によって東名高速は海老名あたりまで混んでおり、渋滞では運転支援システムのひとつ、ACC(レーダー・クルーズ・コントロール・システム)がたいへん役に立つ。
というのも、停止して30秒間、再スタートも自動で行ってくれるからだ。しかもモーターで走行するので動きは素早く、エンジン車のように、エンジンを再始動してから回転数を上げる等のモタつきがない。減速もスムーズで、ハラハラドキドキしない。
海老名の先の厚木から小田原厚木道路で箱根方面に向かう。高速走行中に聞こえてくるのはロード・ノイズだけ。速度と風向きによって風切り音が若干混じるという、EVならではの感覚は、エンジンが始動しても続く。高速巡航時、タコメーターがないので回転数は不明ながら、エンジンはモーター走行より効率が高い場合にしか前輪を駆動しない。
エネルギー・フローを画面に出して見ていると、電池のエネルギーがゼロに近づいてきた場合も、エンジンは発電に徹して、電池に電力を送り、電池からの電力でモーターを駆動する。エンジンには負荷がかからないようなっている。
「ノーマル」のまま走行していたら、箱根ターンパイクの小田原口に到着したときには、電気エネルギーの残量はほぼゼロになっていた。かまわず、ターンパイクの坂道を元気よく上り始めると、「走行出力制限中」と画面に出た。エンジンはヴウウウウウンという実務的な音を発し続けて電力を必死につくり、その電力で持ってモーターで走行する。

驚くべきはそのコーナリング能力である。オン・ザ・レール感覚以上のオン・ザ・レール感覚で、ステアリングを切って思い描いた以上の、尋常ならざる切れ味と安定感でもって、コーナリング・ラインをスパッと切り取る。
ふたつのモーターによる4WDによる車両運動統合制御システムS-AWC(Super-All Wheel Control)と、新たに後輪側にもブレーキ制御を加え、前後輪で左右輪のトルク・ベクタリングを行うAYC(Active Yaw Control)のなせるワザらしい。
これこそ、かつてWRCを席巻した「ランサー・エボリューション」シリーズの開発から生まれた三菱のヘリティッジである。
中略
帰路、電池のエネルギーが空っぽ近くになったので、チャージ・モードにしてみた。すると、エンジンが前輪を駆動すると同時に、電池にもエネルギーを送り、さらにその電池からタイヤにエネルギーを送ったりしている。これでは燃費がよいはずはない。実際、燃費計はリッター11.2kmと、車重2tを超えるSUVとしては驚異的な値だとしても、絶対値としては凡庸な数字を表示している。80kmのEV走行をもたらす200kgの電池が単なるオモリになっている。そうしたのは私ですけれど。
➡︎□元記事に
小生は、殆ど外車のセダンや他社SUVを乗り比べた経験に乏しいので、
この様なプロの方のレビューは非常に参考になります。
以下に今記事のファインディングスを数点
①新型アウトランダーPHEVの乗り心地は意外にも「SUVっぽい」
筆者は独セダンの様な重厚な乗り心地を予想されたのかも
しれませんが、意外にもソフト、上下動があるという事でしょうか。
揺れるが、路面への食いつきは良いというある種のユルさを
持った独特の乗り心地?という評価です。
これも三菱が、伝統の四駆のトラクションと、ハンドリングのキレを
SーAWC電動技術で両立させたので、プロが乗っても従来車と異なる不思議な
乗り心地になっているのかもしれませんね。
②マイパイロットの精度の向上。
これは日産の技術進化に感謝なのですが、プロのレビューが正に言い当てています。
⑴再始動が電動なのでガソリン車のもたつきがない。⑵減速がスムーズでハラハラドキドキしない
小生大いに共感します。おっしゃる通り。
③驚きのコーナリング
「オン・ザ・レール感覚以上のオン・ザ・レール感覚で、ステアリングを切って思い描いた以上の、尋常ならざる切れ味 と安定感でもって、コーナリング・ラインをスパッと切り取る。」流石プロの上手な表現です。
先代がややアンダーステア気味、エクリプスクロスPHEVが切れすぎるのを補正した感じと言われるのを、
新型アウトランダーPHEVは、「狙った通りにコーナーラインを切り取る。」
その感覚を「オンザレール感覚以上のオンザレール感覚」とはよく言ったものです。
オーナーとして上手な表現だなあと共感します。
④電欠すると200kgのバッテリーが単なる重りに思えて勿体無い感じ
筆者は、電欠するまでノーマルモードで走ってしまって、肝心の山道を
電気が少ない状態で走ってしまいました。又、充電していないので
帰りの高速をチャージモードで走って、こうなると非常に燃費が悪いことを認識しています。
プロなので「自分がしたのですが」と反省していますが。
筆者はPHEVには乗り慣れていない様に思えます。
結果としてこのクルマの上手な乗り方が浮かび上がってきます。
このルート(小生もよく走るのですが)ならば、行き帰りの高速を
セーブモードでバッテリーの電気を節約。
肝心の山道や、ワインディングロードをノーマルモードで攻める。
もしくはEVに近い走行の静かさや、パワーの余裕感を実感する。
という乗り方をしてもらいたかったです。
又、筆者は「山道で肝心の」回生レベルセレクターは使っていない様に思えます。
但し、筆者の乗り方が、PHEV初心者の常識なので、逆に新型アウトランダーPHEV
という車はちょいと箱根辺りを走って戻ってきただけではその真価はわからない
奥深いクルマとも言えるでしょう。
以上GQ誌今尾直樹氏のレビューを紹介しました。

➡︎□2021年11月の新型アウトランダーPHEVサーキット試乗レビュー BY GQ誌

➡︎□ほぼ同じコースを走った小生の2022年3月のドライブ旅行記
新型アウトランダーPHEVの試乗レビューを紹介します。
前半部略

筆者にとって意外だったのは乗り心地がSUVっぽかったことだ。
SUVっぽい乗り心地、というのは、足まわりがソフトというか少々ダンピング不足というべきか、高速走行時、首都高速の目地段差とか小田原厚木道路のうねった路面、あるいは東名高速の上りの横浜あたりの少々荒れた路面等でピッチング、もしくはバウンシングが少々残る傾向がある。
それがさほど嫌な感じがしないのは、オフロード走行に備えてストロークをたっぷりとっているから。という雰囲気がなんとなく伝わってくるから、かもしれない。上屋は揺れているのにロード・ホールディングはよさげで、初期の「レンジ・ローバー」に代表されるクラシックなSUVをちょっと思わせて、これはこれで味わい深い。

試乗車の履いていた255/45R20という、SUVとしては扁平の極太大径のタイヤも、低速時にバンピーな路面で存在を主張する。
中略
フロアに電池を敷き詰めていると、電池保護のための補強もあったりしてフロアの剛性はめっちゃ高く感じる。と、筆者は思っていたけれど、アウトランダーPHEVは不思議とそうではない。最近のルノー車よりもフランス車っぽいというか、ドイツ志向ではないというか、あるいはボディの剛性感というよりは足まわりのソフトさからそう感じるのか、ある種のユルさが感じられて、これも独自の味になっている。
中略
エンジンはまったく出しゃばらない。今回、筆者はほとんど走行モードを「ノーマル」にしてドライブしてみたわけだけれど、その場合、電池にエネルギーがある限り、EV走行を積極的に行う。
今回は二子玉川から試乗を開始した。走り始めて聞こえてくるのはエアコンの風の音だけで、室内はいたって静かである。風量を抑え、耳を澄ませていると、♪んたた、んたた、んたた、という小さなうなり音が聞こえてくる。モーターを制御するインバーターの音らしい。

例によって東名高速は海老名あたりまで混んでおり、渋滞では運転支援システムのひとつ、ACC(レーダー・クルーズ・コントロール・システム)がたいへん役に立つ。
というのも、停止して30秒間、再スタートも自動で行ってくれるからだ。しかもモーターで走行するので動きは素早く、エンジン車のように、エンジンを再始動してから回転数を上げる等のモタつきがない。減速もスムーズで、ハラハラドキドキしない。
海老名の先の厚木から小田原厚木道路で箱根方面に向かう。高速走行中に聞こえてくるのはロード・ノイズだけ。速度と風向きによって風切り音が若干混じるという、EVならではの感覚は、エンジンが始動しても続く。高速巡航時、タコメーターがないので回転数は不明ながら、エンジンはモーター走行より効率が高い場合にしか前輪を駆動しない。
エネルギー・フローを画面に出して見ていると、電池のエネルギーがゼロに近づいてきた場合も、エンジンは発電に徹して、電池に電力を送り、電池からの電力でモーターを駆動する。エンジンには負荷がかからないようなっている。
「ノーマル」のまま走行していたら、箱根ターンパイクの小田原口に到着したときには、電気エネルギーの残量はほぼゼロになっていた。かまわず、ターンパイクの坂道を元気よく上り始めると、「走行出力制限中」と画面に出た。エンジンはヴウウウウウンという実務的な音を発し続けて電力を必死につくり、その電力で持ってモーターで走行する。

驚くべきはそのコーナリング能力である。オン・ザ・レール感覚以上のオン・ザ・レール感覚で、ステアリングを切って思い描いた以上の、尋常ならざる切れ味と安定感でもって、コーナリング・ラインをスパッと切り取る。
ふたつのモーターによる4WDによる車両運動統合制御システムS-AWC(Super-All Wheel Control)と、新たに後輪側にもブレーキ制御を加え、前後輪で左右輪のトルク・ベクタリングを行うAYC(Active Yaw Control)のなせるワザらしい。
これこそ、かつてWRCを席巻した「ランサー・エボリューション」シリーズの開発から生まれた三菱のヘリティッジである。
中略
帰路、電池のエネルギーが空っぽ近くになったので、チャージ・モードにしてみた。すると、エンジンが前輪を駆動すると同時に、電池にもエネルギーを送り、さらにその電池からタイヤにエネルギーを送ったりしている。これでは燃費がよいはずはない。実際、燃費計はリッター11.2kmと、車重2tを超えるSUVとしては驚異的な値だとしても、絶対値としては凡庸な数字を表示している。80kmのEV走行をもたらす200kgの電池が単なるオモリになっている。そうしたのは私ですけれど。
➡︎□元記事に
小生は、殆ど外車のセダンや他社SUVを乗り比べた経験に乏しいので、
この様なプロの方のレビューは非常に参考になります。
以下に今記事のファインディングスを数点
①新型アウトランダーPHEVの乗り心地は意外にも「SUVっぽい」
筆者は独セダンの様な重厚な乗り心地を予想されたのかも
しれませんが、意外にもソフト、上下動があるという事でしょうか。
揺れるが、路面への食いつきは良いというある種のユルさを
持った独特の乗り心地?という評価です。
これも三菱が、伝統の四駆のトラクションと、ハンドリングのキレを
SーAWC電動技術で両立させたので、プロが乗っても従来車と異なる不思議な
乗り心地になっているのかもしれませんね。
②マイパイロットの精度の向上。
これは日産の技術進化に感謝なのですが、プロのレビューが正に言い当てています。
⑴再始動が電動なのでガソリン車のもたつきがない。⑵減速がスムーズでハラハラドキドキしない
小生大いに共感します。おっしゃる通り。
③驚きのコーナリング
「オン・ザ・レール感覚以上のオン・ザ・レール感覚で、ステアリングを切って思い描いた以上の、尋常ならざる切れ味 と安定感でもって、コーナリング・ラインをスパッと切り取る。」流石プロの上手な表現です。
先代がややアンダーステア気味、エクリプスクロスPHEVが切れすぎるのを補正した感じと言われるのを、
新型アウトランダーPHEVは、「狙った通りにコーナーラインを切り取る。」
その感覚を「オンザレール感覚以上のオンザレール感覚」とはよく言ったものです。
オーナーとして上手な表現だなあと共感します。
④電欠すると200kgのバッテリーが単なる重りに思えて勿体無い感じ
筆者は、電欠するまでノーマルモードで走ってしまって、肝心の山道を
電気が少ない状態で走ってしまいました。又、充電していないので
帰りの高速をチャージモードで走って、こうなると非常に燃費が悪いことを認識しています。
プロなので「自分がしたのですが」と反省していますが。
筆者はPHEVには乗り慣れていない様に思えます。
結果としてこのクルマの上手な乗り方が浮かび上がってきます。
このルート(小生もよく走るのですが)ならば、行き帰りの高速を
セーブモードでバッテリーの電気を節約。
肝心の山道や、ワインディングロードをノーマルモードで攻める。
もしくはEVに近い走行の静かさや、パワーの余裕感を実感する。
という乗り方をしてもらいたかったです。
又、筆者は「山道で肝心の」回生レベルセレクターは使っていない様に思えます。
但し、筆者の乗り方が、PHEV初心者の常識なので、逆に新型アウトランダーPHEV
という車はちょいと箱根辺りを走って戻ってきただけではその真価はわからない
奥深いクルマとも言えるでしょう。
以上GQ誌今尾直樹氏のレビューを紹介しました。

➡︎□2021年11月の新型アウトランダーPHEVサーキット試乗レビュー BY GQ誌

➡︎□ほぼ同じコースを走った小生の2022年3月のドライブ旅行記
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