
日経ビジネスに三菱加藤社長の単独インタビュー
がありましたので紹介します。

加藤隆雄社長(以下、加藤氏):今後の需要を読むのが非常に難しくなりました。欧州連合(EU)は規制を強化して、EVを普及させようとしていますよね。
一方、お客様の本当の声を聞くと、PHVへの需要がかなり強いのが正直なところです。世界の自動車業界が一斉にEVに向いていますが、本当にそうなのか。もう少し見る必要があると感じています。
新型アウトランダーPHVは、大変評判がいい。日本では受注が好調です。オーストラリアでは2023年度に300台しか出せないと言ったら、3日で1000台の受注が入りオーダーストップになりました。カナダでも一気に8000台の受注で、供給が追いつかない状況です。カナダのディーラーと話すと、EVやPHV、HV(ハイブリッド車)の中ではPHVが一番いいと言っていました。欧州のディーラーもPHVが一番使い勝手がいいと話していました。
EVはコストがかさむので、利益率があまり高くない。一気にEVにいくのはリスキーだと思っています。
そうした中で5年後、10年後の需要をどのように見通していますか。
加藤氏:社内でも相当議論していますが、絞り切るのが難しいというのが今の結論です。EVは出さないといけませんが、その中でPHVをどこまでやるのかを議論しているところです。
様々なタイプのパワートレインを開発するために膨大なコストがかかります。自社開発として、どこに経営資源を集中させますか。
加藤氏:当社は最初にEVを量産しましたし、PHVはずっと開発しているので、幸いにも電動化の技術やノウハウが社内にあります。これから東南アジアにHVを投入しますが、開発はそれほど難しくありませんでした。
ただ問題は、地域ごとに規制が違うので、それに対応するのが大変です。例えば、PHVのエンジンをその地域の規制に適合させるのにコストがかかります。モデル数を増やす際に、ルノーさんから調達した方がいいと考えることもあると思います。

今後、電動車を強化していく中で、エンジン開発についてはどのような方針ですか。
加藤氏:電動車ではなく純粋なエンジン車向けにエンジンを開発するのは、あと何年かで終わりになるかもしれません。新しいディーゼルエンジンを開発して、今年発売するピックアップトラックに搭載します。今後HV用やPHV用のエンジンをどうするかの答えはまだ出ていません。
ソフトウエアの開発や電池の調達には非常にコストがかかります。
加藤氏:自動運転に近いソフトウエアの部分は日産さんに頼ると決めています。これまで電池はエンビジョンAESCグループとリチウムエナジージャパンから調達しているので、今後もそちらから調達します。それ以外もひょっとしたら必要になるかもしれません。
EVやPHVの電動車はエンジン車に比べて差異化が難しいといわれます。どのように三菱らしさを出しますか。
加藤氏:電動化ではない部分で三菱らしさを出す必要があると考えています。当社にはランサーエボリューションやパジェロなどラリーで培ってきた足回りの良さがあります。
私も教えてもらいながらテストドライブして分かりましたが、当社の技術は圧倒的に高いものがあります。例えば、ラフロードを走ったときのブレーキとサスペンションの兼ね合いなどチューニングなどに一日の長があります。こうした技術はお客様に伝わりにくかったかもしれませんが、しっかりアピールしていていきたいと思います。

ルノーが主導するEV新会社「アンペア」への出資を検討していると発表しました。いつまでに出資の判断を下しますか。
加藤氏:まず1つはアンペアに関するいろいろな課題があるので、それを日産さんとルノーさんが議論して、解決されるのが先ですよね。例えば知的財産の問題がうまくまとめられなければ、アンペアの形が変わると思います。
今回は知的財産の形がいい方向にまとまりそうなので、我々も検討しようということになっています。どこまでがアンペアのスコープなのかも勉強して、バリューや将来的な事業性も理解する必要があります。
その辺りのプロセスを考えると、1、2カ月で(出資を)決めるものではありません。ルノーのデメオCEOも「そんなに慌てなくていいよ」と言ってくれているので、今年の秋までに一定の方向性を出せばいいかなと思っています。IPO(新規株式公開)までには、方向性を決めないといけないと考えています。

出資しなくてもできることはあると思います。出資すると何が変わるのでしょうか。
加藤氏:例えば、これから米グーグルなど自動車業界以外の会社が入ってきたときに、ソフトの使用権を得ないといけません。それを三菱単独でできるか分かりません。アンペアでまとまって取り組んだ方がいいかもしれません。
三菱自動車が重視する東南アジアには、中国メーカーがEVで攻勢をかけています。
加藤氏:中国EVが東南アジアにどんどん入ってきています。中国EVは結構いいので、脅威です。同じ電動車となると価格が安い方に流れてしまうので、そこでこそ先ほどお伝えしたような三菱らしさを加えて、ブランドイメージも含めて売っていきます。

23年3月期は過去最高益に迫る業績予想を出しています。何を変えましたか。
加藤氏:現状の3カ年の中期経営計画で、最初に固定費を大幅にカットしました。22年3月期に黒字を達成したのは固定費カットの貢献が非常に大きかったのです。
それと同時にインセンティブのルールを見直しました。従来はインセンティブをばらまいていた部分もありましたので、ルールを決めました。クルマを造り過ぎるとインセンティブをつけてバンバン売ってしまうので、余分に造り過ぎないようにしました。価格が安過ぎるところは、値上げをさせていただきました。
値上げとインセンティブを少なくして固定費を下げ、黒字体質に変わってきています。そこに為替による利益が加わり、過去最高益の予想になっています。
インセンティブを増やしてしまう体質を変えるのは大変ではなかったですか。
加藤氏:はい、大変です。値上げしたら台数が落ちたところも結構出ています。でもそれは割り切ってやってみようと。例えば米国でアウトランダーの販売台数が少し落ちて在庫が若干増えてきています。「米国の利益が落ちてきているのではないか」と指摘されますが、我々は粘りながら戦っています。
実は従来はかなり多いインセンティブを出していましたが、今は同じクラスで最低レベルのインセンティブになっています。経済状況が悪くなってきているので他社はインセンティブを増やしていますが、我々はインセンティブの少ないレベルで辛抱してみようとチャレンジしています。アウトランダーという強い商品があるので、インセンティブを上げないというトライができているのです。
まとめ
6日の日産、ルノー、三菱自動車の発表で鮮明になったのは、世界的な規模ではなく、地域ごとに最適なクルマを投入し、価値を高めるという方向性だ。
実際、電動車においても地域ごとに需要が大きく異なることになりそうだ。欧州や中国、米国ではEVの販売が急増するが、日本や東南アジア、南米ではまだそれほど伸びていない。そのため、東南アジアを主戦場と位置付ける三菱自動車は、慎重にEVシフトを見極めていくことになるだろう。インタビューで加藤社長はPHVの需要が強いことを強調した。
ただ、東南アジアにおいてもEVの販売が伸びている点が見逃せない。中国の上海汽車集団系MGや長城汽車などが攻勢をかけている。5~10年の期間でEVの販売が急伸した際に三菱自動車はどのように対応するのか。
同社は赤字体質から抜け出し、円安の追い風もあり、23年3月期には過去最高益を予想している。とはいえ、自社であらゆる開発をしていくのは不可能で、選択と集中が求められる。現在策定中の23年以降の中期経営計画とその実行は、同社の命運を分けることになりそうだ。
➡□元記事に
三菱オーナーにとっては非常に興味深い記事でした。
次の買い替え時期(小生の場合、アウトランダーPHEVが気に入っているので20230年以降か?)
に三菱の主力車がPHEVのままなのか、それともBEVになっているのか?
それとも更なるFCPHEVの様なものが発売されるのか?興味が尽きないところです。
ここまでの10年も電動車両乗りには相当エキサイティングでしたが、
更にここからの10年間が大きく市場が変わる10年だと思っています。
非常にPHEVウォッチャーとしては毎日楽しんで眺めながら、カーライフを楽しもうと思います。

➡□2022年三菱好決算で注目される今後の中期計画

➡□加藤社長インタビュー(2021年)

➡□三菱新型トライトン12年ぶり日本復活発売?!
がありましたので紹介します。

加藤隆雄社長(以下、加藤氏):今後の需要を読むのが非常に難しくなりました。欧州連合(EU)は規制を強化して、EVを普及させようとしていますよね。
一方、お客様の本当の声を聞くと、PHVへの需要がかなり強いのが正直なところです。世界の自動車業界が一斉にEVに向いていますが、本当にそうなのか。もう少し見る必要があると感じています。
新型アウトランダーPHVは、大変評判がいい。日本では受注が好調です。オーストラリアでは2023年度に300台しか出せないと言ったら、3日で1000台の受注が入りオーダーストップになりました。カナダでも一気に8000台の受注で、供給が追いつかない状況です。カナダのディーラーと話すと、EVやPHV、HV(ハイブリッド車)の中ではPHVが一番いいと言っていました。欧州のディーラーもPHVが一番使い勝手がいいと話していました。
EVはコストがかさむので、利益率があまり高くない。一気にEVにいくのはリスキーだと思っています。
そうした中で5年後、10年後の需要をどのように見通していますか。
加藤氏:社内でも相当議論していますが、絞り切るのが難しいというのが今の結論です。EVは出さないといけませんが、その中でPHVをどこまでやるのかを議論しているところです。
様々なタイプのパワートレインを開発するために膨大なコストがかかります。自社開発として、どこに経営資源を集中させますか。
加藤氏:当社は最初にEVを量産しましたし、PHVはずっと開発しているので、幸いにも電動化の技術やノウハウが社内にあります。これから東南アジアにHVを投入しますが、開発はそれほど難しくありませんでした。
ただ問題は、地域ごとに規制が違うので、それに対応するのが大変です。例えば、PHVのエンジンをその地域の規制に適合させるのにコストがかかります。モデル数を増やす際に、ルノーさんから調達した方がいいと考えることもあると思います。

今後、電動車を強化していく中で、エンジン開発についてはどのような方針ですか。
加藤氏:電動車ではなく純粋なエンジン車向けにエンジンを開発するのは、あと何年かで終わりになるかもしれません。新しいディーゼルエンジンを開発して、今年発売するピックアップトラックに搭載します。今後HV用やPHV用のエンジンをどうするかの答えはまだ出ていません。
ソフトウエアの開発や電池の調達には非常にコストがかかります。
加藤氏:自動運転に近いソフトウエアの部分は日産さんに頼ると決めています。これまで電池はエンビジョンAESCグループとリチウムエナジージャパンから調達しているので、今後もそちらから調達します。それ以外もひょっとしたら必要になるかもしれません。
EVやPHVの電動車はエンジン車に比べて差異化が難しいといわれます。どのように三菱らしさを出しますか。
加藤氏:電動化ではない部分で三菱らしさを出す必要があると考えています。当社にはランサーエボリューションやパジェロなどラリーで培ってきた足回りの良さがあります。
私も教えてもらいながらテストドライブして分かりましたが、当社の技術は圧倒的に高いものがあります。例えば、ラフロードを走ったときのブレーキとサスペンションの兼ね合いなどチューニングなどに一日の長があります。こうした技術はお客様に伝わりにくかったかもしれませんが、しっかりアピールしていていきたいと思います。

ルノーが主導するEV新会社「アンペア」への出資を検討していると発表しました。いつまでに出資の判断を下しますか。
加藤氏:まず1つはアンペアに関するいろいろな課題があるので、それを日産さんとルノーさんが議論して、解決されるのが先ですよね。例えば知的財産の問題がうまくまとめられなければ、アンペアの形が変わると思います。
今回は知的財産の形がいい方向にまとまりそうなので、我々も検討しようということになっています。どこまでがアンペアのスコープなのかも勉強して、バリューや将来的な事業性も理解する必要があります。
その辺りのプロセスを考えると、1、2カ月で(出資を)決めるものではありません。ルノーのデメオCEOも「そんなに慌てなくていいよ」と言ってくれているので、今年の秋までに一定の方向性を出せばいいかなと思っています。IPO(新規株式公開)までには、方向性を決めないといけないと考えています。

出資しなくてもできることはあると思います。出資すると何が変わるのでしょうか。
加藤氏:例えば、これから米グーグルなど自動車業界以外の会社が入ってきたときに、ソフトの使用権を得ないといけません。それを三菱単独でできるか分かりません。アンペアでまとまって取り組んだ方がいいかもしれません。
三菱自動車が重視する東南アジアには、中国メーカーがEVで攻勢をかけています。
加藤氏:中国EVが東南アジアにどんどん入ってきています。中国EVは結構いいので、脅威です。同じ電動車となると価格が安い方に流れてしまうので、そこでこそ先ほどお伝えしたような三菱らしさを加えて、ブランドイメージも含めて売っていきます。

23年3月期は過去最高益に迫る業績予想を出しています。何を変えましたか。
加藤氏:現状の3カ年の中期経営計画で、最初に固定費を大幅にカットしました。22年3月期に黒字を達成したのは固定費カットの貢献が非常に大きかったのです。
それと同時にインセンティブのルールを見直しました。従来はインセンティブをばらまいていた部分もありましたので、ルールを決めました。クルマを造り過ぎるとインセンティブをつけてバンバン売ってしまうので、余分に造り過ぎないようにしました。価格が安過ぎるところは、値上げをさせていただきました。
値上げとインセンティブを少なくして固定費を下げ、黒字体質に変わってきています。そこに為替による利益が加わり、過去最高益の予想になっています。
インセンティブを増やしてしまう体質を変えるのは大変ではなかったですか。
加藤氏:はい、大変です。値上げしたら台数が落ちたところも結構出ています。でもそれは割り切ってやってみようと。例えば米国でアウトランダーの販売台数が少し落ちて在庫が若干増えてきています。「米国の利益が落ちてきているのではないか」と指摘されますが、我々は粘りながら戦っています。
実は従来はかなり多いインセンティブを出していましたが、今は同じクラスで最低レベルのインセンティブになっています。経済状況が悪くなってきているので他社はインセンティブを増やしていますが、我々はインセンティブの少ないレベルで辛抱してみようとチャレンジしています。アウトランダーという強い商品があるので、インセンティブを上げないというトライができているのです。
まとめ
6日の日産、ルノー、三菱自動車の発表で鮮明になったのは、世界的な規模ではなく、地域ごとに最適なクルマを投入し、価値を高めるという方向性だ。
実際、電動車においても地域ごとに需要が大きく異なることになりそうだ。欧州や中国、米国ではEVの販売が急増するが、日本や東南アジア、南米ではまだそれほど伸びていない。そのため、東南アジアを主戦場と位置付ける三菱自動車は、慎重にEVシフトを見極めていくことになるだろう。インタビューで加藤社長はPHVの需要が強いことを強調した。
ただ、東南アジアにおいてもEVの販売が伸びている点が見逃せない。中国の上海汽車集団系MGや長城汽車などが攻勢をかけている。5~10年の期間でEVの販売が急伸した際に三菱自動車はどのように対応するのか。
同社は赤字体質から抜け出し、円安の追い風もあり、23年3月期には過去最高益を予想している。とはいえ、自社であらゆる開発をしていくのは不可能で、選択と集中が求められる。現在策定中の23年以降の中期経営計画とその実行は、同社の命運を分けることになりそうだ。
➡□元記事に
三菱オーナーにとっては非常に興味深い記事でした。
次の買い替え時期(小生の場合、アウトランダーPHEVが気に入っているので20230年以降か?)
に三菱の主力車がPHEVのままなのか、それともBEVになっているのか?
それとも更なるFCPHEVの様なものが発売されるのか?興味が尽きないところです。
ここまでの10年も電動車両乗りには相当エキサイティングでしたが、
更にここからの10年間が大きく市場が変わる10年だと思っています。
非常にPHEVウォッチャーとしては毎日楽しんで眺めながら、カーライフを楽しもうと思います。

➡□2022年三菱好決算で注目される今後の中期計画

➡□加藤社長インタビュー(2021年)

➡□三菱新型トライトン12年ぶり日本復活発売?!
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