
今日は、シュモクザメのお話
ではなくトヨタの新しいデザインアイデンティティについてです。
ここ数年に登場した最新のトヨタ車の一部には、一つ特徴があります。それが「ハンマーヘッド」形状というデザインです。トヨタだけではなくマツダの「鼓動(こどう)デザイン」やBMWの「キドニーグリル」など、メーカーはデザインをある程度統一化することがあります。これにはどのような意味があるのでしょうか。
メーカーの“デザイン統一”どういう意図がある?
ここ数年に登場した最新のトヨタ車の一部には、一つ特徴があります。それが「ハンマーヘッド」形状というデザインです。

これは、金づちに似たかたちの頭を持つシュモクザメをモチーフとしたもの。「bZ4X」をはじめ「クラウンシリーズ」「プリウス」、そして中国で発表されたEVセダンの「bZ3」などにも採用されています。
振り返ってみれば、2010年代のトヨタは、キーンルックと呼ぶデザインをいくつかの車種に採用していました。
「86」は「獲物を捕らえるような眼差しを表現したトヨタ独自のキーンルック」と説明されていました。「C-HR」で「知的で明晰な印象を与えるTOYOTA独自のフロントの表情」とキーンルックを説明しています。

とはいえ最近はトヨタの口から「キーンルック」の言葉を耳にすることがなくなりました。代わりに登場したのが「ハンマーヘッド」です。つまるところ、「ハンマーヘッド」の登場は、トヨタのデザインが新時代に移り変わったことを意味していると見て良いでしょう。

そんなトヨタのように、一つのデザインを幅広い車種に採用するメーカーは、数多く存在します。
わかりやすい例であればマツダの「魂動(こどう)」デザインです。マツダの現在のモデルは、すべてに「魂動」というデザインコンセプトが採用されています。

(マツダCX‐90予想図カムフラージュでもマツダっぽい)
(中略)
ではなぜ、こうした統一したデザインを自動車メーカーが採用するのでしょうか。
以前、筆者(鈴木ケンイチ)はマツダの開発者に「魂動」デザインを採用する理由を尋ねたことがあります。「なぜ、ラインナップすべてを、同じデザイン・テイストに統一するのですか」と。すると、開発者からは「マツダの知名度が低いのが理由。マツダという存在を知ってほしいから」という答えが返ってきました。
なるほど、確かにマツダ車すべてを同じデザインにすれば、街で見かけたときに「あそこにマツダ車がいる」と認知してもらえる確率は高くなります。マツダというブランドを訴求するには、よい手段といえます。
そういう意味では、メルセデス・ベンツやBMW、レクサスなどのプレミアム・ブランドが、イメージを統一するのは理解できます。なぜなら、プレミアム・ブランドは、個々の車種ではなく、ブランド全体のイメージでクルマを売っているからです。
また、ブランドのイメージを管理するという側面でも、デザインを一つに統一するのは有効です。こっちのデザインは格調高いけれど、こっちは親しみやすいというように、車種ごとにバラバラでは、ブランド全体のイメージがブレてしまいます。
ただし、幅広い車種を販売しているブランドでは、同じデザインはネガティブな面もあります。安価なエントリーカーと高級モデルを同じデザインにしてしまうと、どちらにも良くありません。
子育て世代向けのファミリーカーと、アグレッシブなスポーツカーも同様です。デザインの方向性を一つにしてしまうと、顧客を限定してしまうことになってしまいます。そのため、数多くの車種を扱うメーカーは、デザインの統一を厳格に実施していません。トヨタのハンマーヘッド・デザインも、ごく一部の限られた車種だけに採用されているのです。
実際にトヨタのデザイン統括部長であるサイモン・ハンフリーズ氏は、トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」で統一デザインを採用していない理由を述べています。
「ブランドマネジメントという観点から考えると、全車種のデザインを統一するという方法もあります。けれども、トヨタのデザインは、その一台がお客様にとってオンリーワンの存在になれるかどうかを重視しています。たくさんの選択肢からたった一台を選ぶお客様にとっては、全車種がすべて同じデザインであるよりも、自分にとって最良の一台が見つかることが重要なのではないでしょうか。『この一台を選んだら幸せになっていただける』そういうことを目指しています」(トヨタイムズより)

(ハンマーヘッドシャーク シュモクザメとは? 頭はセンサーらしい)
統一感よりも、個々のモデルの特徴を生かすというのが、トヨタの基本的な考えとなっているのです。軽自動車から、ファミリー向けのミニバン、高級セダン、さらにはスポーツカーまで扱うトヨタならではの戦略でしょう。
同じように、幅広いラインナップを擁するホンダも統一感は薄く、フォードやシボレーなどのアメリカ車も、どちらかといえば統一感にこだわりがないように見えます。
逆に、メルセデス・ベンツやBMW、レクサス、マツダなどは、ラインナップがそれほど多くなく、しかも、すべてが同じイメージになっていて問題がないブランドとなります。
また、トヨタの場合、ハンマーヘッド・デザインを採用したのは「プリウス」「クラウン」「bZシリーズ」など。これらは、すべて先進性を謳うモデルです。そうした特徴のある一部のモデルに統一感を持たせるというのがトヨタの戦術なのでしょう。

つまり、デザインを統一させるかどうかは、そのメーカーのラインナップと、ブランドのイメージ、そしてメーカーの戦術次第となるのです。新型車の顔つきを見ながら、それぞれのブランドの狙いを推し量る。それも新型車を見る楽しみではないでしょうか。
(正にハンマーヘッド!)
➡□元記事に
なるほどですね。
トヨタを印象付ける先進デザインがハンマーヘッドで
キーンルックに変わる新しいデザインアイデンティティだということ。
そして、ハンマーヘッドは一部の先進感訴求車にのみ採用されて、
マツダの様に何でもかんでもそうするわけでないという事。
bz4X(から続くグローバルEV)
プリウス、
クラウンの後は
CH-Rと続いて、一旦成果を見る感じでしょうか、、
個人的には、グリルの幅を狭くするもしくは電動車両でグリルレス
に加えて、上部をデイタイムランニングライト、下部をヘッドライト
として、しかもこれを一体化するデザインは、トヨタがデンソーなどと
LEDライトの開発を進めてきたからできる最新式デザインアイデンティティです。
シュモクザメは下からダイバーが撮った写真が多いので
見つけるのが苦労しましたが、一番下の写真で、斜め上から見た
シュモクザメと新型CH-Rのハンマーヘッド比較が一番シンクロしていて気に入っています。

➡□トヨタ次期C-HRの二律背反デザイン

(トヨタ 中国向けbz Sedan BEV)

➡︎□三菱ダイナミックシールド顔の進化

➡□ダイナミックシールドデザイン採用が一番よくわかるアウトランダーのデザインの変遷

➡︎◻︎クルマの「怖い顔化」について

➡□グリルの存在感は低下がトレンド?
ではなくトヨタの新しいデザインアイデンティティについてです。
ここ数年に登場した最新のトヨタ車の一部には、一つ特徴があります。それが「ハンマーヘッド」形状というデザインです。トヨタだけではなくマツダの「鼓動(こどう)デザイン」やBMWの「キドニーグリル」など、メーカーはデザインをある程度統一化することがあります。これにはどのような意味があるのでしょうか。
メーカーの“デザイン統一”どういう意図がある?
ここ数年に登場した最新のトヨタ車の一部には、一つ特徴があります。それが「ハンマーヘッド」形状というデザインです。

これは、金づちに似たかたちの頭を持つシュモクザメをモチーフとしたもの。「bZ4X」をはじめ「クラウンシリーズ」「プリウス」、そして中国で発表されたEVセダンの「bZ3」などにも採用されています。
振り返ってみれば、2010年代のトヨタは、キーンルックと呼ぶデザインをいくつかの車種に採用していました。
「86」は「獲物を捕らえるような眼差しを表現したトヨタ独自のキーンルック」と説明されていました。「C-HR」で「知的で明晰な印象を与えるTOYOTA独自のフロントの表情」とキーンルックを説明しています。

とはいえ最近はトヨタの口から「キーンルック」の言葉を耳にすることがなくなりました。代わりに登場したのが「ハンマーヘッド」です。つまるところ、「ハンマーヘッド」の登場は、トヨタのデザインが新時代に移り変わったことを意味していると見て良いでしょう。

そんなトヨタのように、一つのデザインを幅広い車種に採用するメーカーは、数多く存在します。
わかりやすい例であればマツダの「魂動(こどう)」デザインです。マツダの現在のモデルは、すべてに「魂動」というデザインコンセプトが採用されています。

(マツダCX‐90予想図カムフラージュでもマツダっぽい)
(中略)
ではなぜ、こうした統一したデザインを自動車メーカーが採用するのでしょうか。
以前、筆者(鈴木ケンイチ)はマツダの開発者に「魂動」デザインを採用する理由を尋ねたことがあります。「なぜ、ラインナップすべてを、同じデザイン・テイストに統一するのですか」と。すると、開発者からは「マツダの知名度が低いのが理由。マツダという存在を知ってほしいから」という答えが返ってきました。
なるほど、確かにマツダ車すべてを同じデザインにすれば、街で見かけたときに「あそこにマツダ車がいる」と認知してもらえる確率は高くなります。マツダというブランドを訴求するには、よい手段といえます。
そういう意味では、メルセデス・ベンツやBMW、レクサスなどのプレミアム・ブランドが、イメージを統一するのは理解できます。なぜなら、プレミアム・ブランドは、個々の車種ではなく、ブランド全体のイメージでクルマを売っているからです。
また、ブランドのイメージを管理するという側面でも、デザインを一つに統一するのは有効です。こっちのデザインは格調高いけれど、こっちは親しみやすいというように、車種ごとにバラバラでは、ブランド全体のイメージがブレてしまいます。
ただし、幅広い車種を販売しているブランドでは、同じデザインはネガティブな面もあります。安価なエントリーカーと高級モデルを同じデザインにしてしまうと、どちらにも良くありません。
子育て世代向けのファミリーカーと、アグレッシブなスポーツカーも同様です。デザインの方向性を一つにしてしまうと、顧客を限定してしまうことになってしまいます。そのため、数多くの車種を扱うメーカーは、デザインの統一を厳格に実施していません。トヨタのハンマーヘッド・デザインも、ごく一部の限られた車種だけに採用されているのです。
実際にトヨタのデザイン統括部長であるサイモン・ハンフリーズ氏は、トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」で統一デザインを採用していない理由を述べています。
「ブランドマネジメントという観点から考えると、全車種のデザインを統一するという方法もあります。けれども、トヨタのデザインは、その一台がお客様にとってオンリーワンの存在になれるかどうかを重視しています。たくさんの選択肢からたった一台を選ぶお客様にとっては、全車種がすべて同じデザインであるよりも、自分にとって最良の一台が見つかることが重要なのではないでしょうか。『この一台を選んだら幸せになっていただける』そういうことを目指しています」(トヨタイムズより)

(ハンマーヘッドシャーク シュモクザメとは? 頭はセンサーらしい)
統一感よりも、個々のモデルの特徴を生かすというのが、トヨタの基本的な考えとなっているのです。軽自動車から、ファミリー向けのミニバン、高級セダン、さらにはスポーツカーまで扱うトヨタならではの戦略でしょう。
同じように、幅広いラインナップを擁するホンダも統一感は薄く、フォードやシボレーなどのアメリカ車も、どちらかといえば統一感にこだわりがないように見えます。
逆に、メルセデス・ベンツやBMW、レクサス、マツダなどは、ラインナップがそれほど多くなく、しかも、すべてが同じイメージになっていて問題がないブランドとなります。
また、トヨタの場合、ハンマーヘッド・デザインを採用したのは「プリウス」「クラウン」「bZシリーズ」など。これらは、すべて先進性を謳うモデルです。そうした特徴のある一部のモデルに統一感を持たせるというのがトヨタの戦術なのでしょう。

つまり、デザインを統一させるかどうかは、そのメーカーのラインナップと、ブランドのイメージ、そしてメーカーの戦術次第となるのです。新型車の顔つきを見ながら、それぞれのブランドの狙いを推し量る。それも新型車を見る楽しみではないでしょうか。
(正にハンマーヘッド!)
➡□元記事に
なるほどですね。
トヨタを印象付ける先進デザインがハンマーヘッドで
キーンルックに変わる新しいデザインアイデンティティだということ。
そして、ハンマーヘッドは一部の先進感訴求車にのみ採用されて、
マツダの様に何でもかんでもそうするわけでないという事。
bz4X(から続くグローバルEV)
プリウス、
クラウンの後は
CH-Rと続いて、一旦成果を見る感じでしょうか、、
個人的には、グリルの幅を狭くするもしくは電動車両でグリルレス
に加えて、上部をデイタイムランニングライト、下部をヘッドライト
として、しかもこれを一体化するデザインは、トヨタがデンソーなどと
LEDライトの開発を進めてきたからできる最新式デザインアイデンティティです。
シュモクザメは下からダイバーが撮った写真が多いので
見つけるのが苦労しましたが、一番下の写真で、斜め上から見た
シュモクザメと新型CH-Rのハンマーヘッド比較が一番シンクロしていて気に入っています。

➡□トヨタ次期C-HRの二律背反デザイン

(トヨタ 中国向けbz Sedan BEV)

➡︎□三菱ダイナミックシールド顔の進化

➡□ダイナミックシールドデザイン採用が一番よくわかるアウトランダーのデザインの変遷

➡︎◻︎クルマの「怖い顔化」について

➡□グリルの存在感は低下がトレンド?
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